テレビ番組で本作品のことを知ってはいたのですが、実際に手を取るのが発売から3ヶ月後になってしまいましたが、読み始めたらあっという間に引き込まれました。
作品情報
| 作品名 | 暁星 |
| 作者 | 湊かなえ |
| 発売日 | 2025/11/27 |
「ただ、星を守りたかっただけ――」
現役の文部科学大臣で文壇の大御所作家でもある清水義之が全国高校生総合文化祭の式典の最中、舞台袖から飛び出してきた男に刺されて死亡する事件がおきた。逮捕された男の名前は永瀬暁、37歳。永瀬は逮捕されたのち、週刊誌に手記を発表しはじめる。そこには、清水が深く関わっているとされる新興宗教に対する恨みが綴られていた。また、式典に出席していた作家は、永瀬の事件を小説として描く。ノンフィクションとフィクション、ふたつの物語が合わさったとき見える景色とは!?
あらすじ
本作は、政治や経済にまで影響を及ぼす新興宗教に苦しめられた主人公が、ある犯行に至るまでの経緯を、自らの手記を通して語っていく物語です。
物語は2部構成になっており、前半は1人目の主人公の手記による独白、後半は2人目の主人公の視点へと切り替わります。後半に進むにつれ、前半では語られなかった事実が次々と明らかになっていく構成が、読む手を止めさせません。
読んでみた感想
この作品を手に取ってから、隙間時間のほぼすべてを読書に充て、1週間で読み終えてしまいました。2つの視点が交差しながら真実が浮かび上がる構成に、気づけばすっかり引き込まれていました。
「ゾンビ集団」という言葉が刺さった
本作の中で特に印象に残ったのが、宗教団体や閉鎖的な職場の集団を「ゾンビ集団」と表現する場面です。
物語の中の言葉でありながら、読んでいて「自分は今、同じような状態に陥っていないだろうか」とふと立ち止まって考えさせられました。集団に長く属していると、知らず知らずのうちにその空気に染まっていくことがある。そのことを、小説というフィルターを通して静かに突きつけられた気がします。
二分割できるってことは、どんな酷い職場にだって、想像力のある者が半数はいることになる。だが、そうならないのは、想像力のないヤツらは、自分たちに欠けた能力を持つ者たちを排除するからだ。
自分が欠陥人間であることを隠すために。無意識のうちに防衛本能が働く。
いや、単に、自分とは違う種に嫌悪感を抱くんだろうな。
だから、想像力の豊かな者の匂いをかぎ分け、濃い者から敵認定して排除していく。
いわば、ゾンビ集団みたいなものだ。
この一節は、職場や組織における同調圧力や排除のメカニズムを鋭く言語化しています。「想像力のある者が敵認定される」という視点は、現実社会でも思い当たる節がある方も多いのではないでしょうか。
まとめ
『暁星』は、宗教や職場といった身近な「集団」の恐ろしさを、緻密な構成と鋭い言葉で描いた作品です。読了後にじわじわと余韻が残り、自分自身の環境を見つめ直すきっかけにもなりました。
![暁星 [ 湊かなえ ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/8562/9784575248562_1_3.jpg?_ex=128x128)

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